ここで寄り道
~🍵🍪少し寄り道~ Vol. 11
【静電気に注意】 静電気は摩擦や接触によって電子が移動して電荷のバランスが崩れて帯電が起きパチッ、パチパチ(>_<)ときます。 気温や湿度は勿論ですが、繊維が持ち合わせている水分量にも考慮しましょう。特に乾燥しやすい秋冬は空気中の水分量が少なく放電し難くなります。作業環境に左右されるユニフォームや肌の水分量が少なく体内に蓄積されやすい人なども含め配慮が必要です。 静電気が起きにくい繊維はプラスにもマイナスにも帯電しにくい綿、麻、絹などで親水性が高い繊維です。 帯電列が離れている素材同士では静電気が発生しやすくなりますね。 注意)静電気の発生しやすい組み合わせ例 ・ポリエステルのボトムとナイロン製のストッキング ・ナイロンのインナーとアクリルの羽織もの ※毛羽立った素材や薄地で柔らかい生地も接触面積が大きくなり静電気が発生しやすいため、織りや編みにも左右されます。 ※)乾燥時期には表面フラッシュにも気を付けたいですね。 表面フラッシュ: 衣類の表面に細かい毛羽がある場合などに発生しやすく、一瞬で衣服全体に炎が広がり、炎は薄く透明に近く明るい場所では燃えていることに気がつきにくいそうです。
もっと詳しく知る~🍵🍪少し寄り道~ Vol. 10
【シルキー加工の色々】 シルキー加工とは絹の様な光沢感を与える加工の総称です。 シルケット加工: マーセライズ(Mercerised Cotton)加工とも呼ばれます。 綿素材に用いる代表的なシルキー加工で、綿糸・綿布でも加工できるのが特徴です。 繊維が収縮しないように引っ張りながら苛性ソーダに浸して処理することで綿の断面が整います。 生地の場合は薬剤を塗布し、ローラーで磨きながら高温で仕上げ毛羽立ちを抑え滑らかにします。染色性の向上が期待できます。 注意)編地もよりますが細番手に加工するとファスナー現象(綿では殆ど起きない静電気)が起こるので気を付けてください。 シュライナー加工:主に綿布に対して用いられる加工。 細かい斜線を刻んだ高熱ローラーに加圧しながら生地を通し光沢感を出します。 ドイツのシュライナーが発明しその名があります。効果を永続させる場合は樹脂に前加工を施す必要があります。 減量加工:ポリエステルなどの合成繊維フィラメントに用いる、絹の精錬原理を利用した加工方法。 苛性ソーダで繊維表面を5~20%ほど溶かして減量させ(エステル結合が加水分解されます)、繊維と繊維の間の隙間を大きくします。そうすることで光沢感としなやかなドレープ性のある生地になります。 注意)編み・織り組織によって減量率を変える必要があります。強度や物性面のバランスをとり、加工方法にも様々あります。
もっと詳しく知る~🍵🍪少し寄り道~ Vol. 9
【表面を平準にする加工】 カレンダー加工: カレンダー(calender)機を用いた加工で、ローラーで生地に熱と圧力を加えて表面を平準にし、光沢が期待できます。Calendar(暦)とはスペルが違うので注意しましょう。 チンツ加工: 生地の表面に糊やロウを塗って専用機で熱と圧力をかけてツルッとした仕上がりにする加工。ツヤとハリ感がでるが、光沢は洗濯を繰り返すと落ちる可能性があり取り扱い表示には要注意です。 シレー加工: 生地の裏面に熱による圧力で加工を施し、表地の気密性(繊維の隙間を小さく)を高め表面が蝋のような独特のコーティングになっている光沢ある加工方法。 ※長繊維織物の生地ではシレー加工(ワックス(蝋)フランス語))と呼ばれ、綿を中心とした短繊維織物ではチンツ加工と呼ばれることが多いようです。 どれも完全な防水にはならず、定期的に撥水加工などを施す必要があります。 ちなみに、シワ加工+チンツ加工、カレンダー加工+シワ加工なども可能。 補足) 温度を加えない冷カレンダー加工でチョークマーク不良に対応できる場合があります。
もっと詳しく知る~🍵🍪少し寄り道~ Vol. 8
【工業用パターンの重要性】 このコラムの筆者は元パタンナーです。パタンナー目線で本日はお話しさせていただきますね。 既に展示会サンプルのコメントをご覧になられている方は赤字のコメントがあることに気が付かれていると思います。 例)↓↓赤文字 展示会サンプルを確認する上で当社のパターン(外注)を見ることが多くありましたが、工業用パターンになっていないパターンが散見されました。 これが何を意味するのか、縫製に支障を及ぼし、製品上りの不具合となります。 信用問題につながりますが当社ではそのチェック機構がありません。 デザインと素材が原因なのか、パターンが原因なのか、縫製が原因なのかも突き止められず、曖昧のままやり過ごしているのが現状です。 工賃が安価な工場であればあるほど、正確な工業用パターンを必要とします。 外人と日本人とでは完成度の感覚には差異があり、工場設備も不十分であれば尚更です。不完全なまま工場に押し付けても無いものねだりでしかありません。 工業用パターンを工場に依頼されている方を散見しますが、知らないが上の恐ろしい勇気ですね。 日本人の繊細なモノづくりが崩壊すれば、それに勝る何か?がなければ、いずれ淘汰されてしまうのではないでしょうか。 デザイン・パターンの完成度が低ければ、さらに仕上がった商品レベルも低い。負のスパイラルでしかありません。 製品にもPDCAが必要です。 モノの良し悪しを見極められる人材になって欲しいです。 OEMであっても客先が何を望んでいるのかをいち早く理解することが先に進むには重要で、常に先回りをして準備をしなければ取引先と対峙することはできません。専門知識だけあっても事足りません。経験や培われた感性がものをいう場面です。 残念ながら今のAIは答えてくれません。 商社ではこの工程の重要性を理解して頂けていないのが残念でなりません。 アパレルでの3DCADは何十年も発展途上の理由はここにもあるのではないかとも思われますね。 今後、会社がどういう方向性に向かうのかは皆さんが変えてゆくでしょう。アパレル業界は川上~川下まで細分化された専門性が広い分野です。取引先から、「えっ!」そこ聞かれても分からない・・となりがちです。 客先に納得して頂く商品を提供するには、成果となる数値も重要ですが、服作りには何が必要なのかちょっと考えて頂けたら幸いです。 これからの皆さんの活躍が楽しみです。
もっと詳しく知る~🍵🍪少し寄り道~ Vol. 7
【裏地の役割とは】 裏地を付ける目的やその選択が疑問に思われる(裏地の役割が未修得?)ことが展示会サンプルで散見されたことから、見えない部分が大事ということも、ここで改めて考えて欲しいと記載しております。 下記はジャケットの裏仕様の例です↓↓↓ ※季節によっても裏地の仕様が変わります。 ① 着脱しやすくする 滑りの良い裏地を使用することで着脱がスムーズに行え、衣類同士や身体への引っ掛かりを防ぎます。表地の肌の刺激や静電気を防ぐという機能があるものもあり、着用に大きな影響を与えます。 ② 耐久性の保持 表地には芯地を貼るなどして形状などを維持していますが、裏地で摩擦や汗などによる表地の耐久性を保持できます。 ③ 型崩れ防止 裏地の素材やパターン展開によりシルエットを安定させることが期待できます。 ジャケットなどでは裏地により立体感や張りを維持しやすい。 ④ 保温性の保持 裏地の素材によりますが、空気の層が生まれ熱が逃げにくくなります。 表地の特性や季節に応じて裏地の素材に考慮すると良いですね。 ⑤ 透け防止 表地の素材や色によって下着や身体のラインが透けてしまうことがあります。 透け防止の裏地を使用することで安心感や清潔感、上品さを保つ役割も担っています。 ⑥ デザイン的価値 着脱の際の印象を左右する隠れたおしゃれポイントにもなります。 【裏地の素材について】 着心地を重視するか、お手入れのしやすさなのか、環境配慮にしたいのか、高級志向か安価で仕上げたいのか等‥目的に配慮して素材を選択しましょう。 代表的な素材を記載します。 キュプラ(ベンベルグ) ・吸湿・放湿性が高く蒸れにくい ・肌触りが滑らか ・静電気が起こり難い ・再生繊維の自然由来 ・価格は高めですが、快適性を重視するのであればキュプラ押しです。 ポリエステル ・丈夫で安価 ・色・柄のバリエーションが豊富 ・吸湿性が低く一般的に使用されているものは蒸れやすい。 ・静電気が起きやすい。 ※吸汗・速乾性などの高機能ポリエステル裏地もあるので用途による選択肢を考えても良いと思います シルク ・滑らかで上品な光沢 ・吸湿性が良い。 ・摩擦や水に弱く、耐久性は低い。 ・とても高価 ナイロン ・軽量で丈夫・耐摩擦 ・熱に弱く、耐候性が低く黄変の可能性あり。 ※他にストレッチ裏地、パワーネット裏地、メッシュタイプ裏地、帯電防止や透け防止裏地などの機能性裏地も数多くあるため目的に合わせて選択してください。
もっと詳しく知る~🍵🍪少し寄り道~ Vol. 6
【人工皮革と合成皮革は定義が違う】 展示会サンプルで人工皮革と合成皮革を混同して扱っているケースが見受けられました。 適正表記にするべく改めて掲載しております。 人工皮革:Artificial Leather。基材に特殊不織布を用いたもので、裏面の構造や機能、風合いまでを天然皮革に似せて作ったもの。不織布はマイクロファイバーなどによる緻密な構造を使用する。 合成皮革より価格が高い。 ※家庭用品品質表示法では基材に特殊不織布を用いたものとあります。 合成皮革:imitation leatherやsynthetic leather。基材に特殊不織布以外の生地(編み地や織物)を使い、その上にウレタン樹脂をコーティングし肩織りして柄を入れて天然皮革に似せたもの。 ※家庭用品品質表示法では基材に特殊不織布以外のものを用いたものとあります。 注意)どちらもポリウレタンを使用しているため加水分解による劣化やシミになり易い。また、暖房器具や日光なでも劣化があるので取り扱いに注意しましょう。 注意)合成皮革の樹脂層にポリウレタンではなく塩化ビニルを使われていることがあり、ドライクリーニングにした場合に表面が硬化する可能性が高く、また外観で判断が困難でもあるため要注意です。 天然皮革についても少し触れておきます。 天然皮革:real leatherやgenuine leather。鞣し(なめし)工程で皮のコラーゲン繊維に薬剤を浸透させ、繊維を安定化させることで柔らかく丈夫な素材に変化させます。
もっと詳しく知る~🍵🍪少し寄り道~ Vol. 5
【軽量・高機能性素材のひとつであるパーテックスの主な種類】 展示会サンプルでは素材の機能性を生かしきれておらず、特性を理解する上で今回はパーテックを取り上げました。 2025年に三井物産がPERTEXブランドの商標および特許を取得し、現在は三井物産テクノプロダクツが商品開発や販売を行っています。 PERTEXブランドは10種類以上あり、種類により特性が異なるので目的にあったものを選びましょう。 簡単に特徴を記載しますが、総評として軽量・透湿性・動きやすさを重視する傾向があるようです。 Shield(シールド):防水性と透湿性。主な用途:レインウエア Quantaum(クアンタム):軽量と通気性、断熱性。高密度で織り上げた極細ナイロン(20デニール以下、10デニール以下のクアンタムGLもある)を使用。 主な用途:ダウンや寝袋 Equilibrium(イクイリブリウム):軽量と通気性、湿気を逃がす。表裏で糸の太さを変えた二重織り構造(肌側:太い、外側:細い)。 主な用途:アクティブアウトドア Endurance(エンデュランス):防水と防風性。防水・防風性のある極薄ポリウレタンメンブレン(皮膜)を高耐久性ナイロンファブリック表面にコーティング。 Unlinited(アンリミテッド):耐久性と柔軟性、摩擦や引き裂きに強い。 主な用途:アウトドアギア Microlight(マイクロライト):非常に軽量で持ち運び易い。高密度で織り上げた高強力ナイロン糸(30デニールクラス)を使用。 主な用途:登山 Classic(クラシック):パーテックスの基本的特性を持つコアラインブランド。高強度40デニールナイロンを使用。 主な用途:一般的なアウトドア ※パーテックスに限らず、素材の特性を生かした企画をお願いいたします。
もっと詳しく知る~🍵🍪少し寄り道~ Vol. 4
【シボのある織物の色々】 前回(Vol.3)は、サッカー生地に似た生地でしたが、他にも撚糸の技法によるシボの表現にも色々あります。シボはシボでも色々あって覚えにくいですが、下記は代表的な名称なので覚えておいておかれると良いでしょう。 下記のように同じ楊柳でも素材によって表面感や手触りシボの出具合が変わってきます。 分かりやすい写真を記載します↓↓↓
もっと詳しく知る~🍵🍪少し寄り道~ Vol. 3
【サッカー生地に似た生地】 サッカーSucker:シアーサッカー。 張力(収縮力)の違う2種類の経糸をしじら織りにし表面に並み状のシワがストライプのように入った織物。経糸と緯糸の間にシワができ、シワのない部分は緯糸の本数が多く表面に凹凸が現れることも特徴。 しじら織り:張った経糸と弛ませた経糸を交互に配置し、独特のシボを出した織物。 リップル加工:綿や麻等のセルロース系の生地に水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)などの水溶液を付着(捺染)させて収縮させシワや凹凸が発現される。 全面的に均一なテクスチャが多い。 塩縮加工: 塩化カルシウム・硫酸カルシウム・水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)など塩類の水溶液に生地を浸し、収縮させることで凹凸やシワが発現される。部分的に生地を縮ませ柄や模様を作ることが多い。
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